徳島新聞 女性クラブ

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お知らせ

2014年8月8日金曜日

徳島新聞女性クラブトークショー 小宮悦子さん

「目に見えないから将来が不安になるけど、
今をよりよく生きるしかない」と話す小宮さん
=徳島市のアスティとくしま
2014/08/04付 徳島新聞朝刊暮らし面掲載

徳島市のアスティとくしまで開かれた、女性向け会員制クラブ「徳島新聞女性クラブ」の第2回トークショー。フリーアナウンサーの小宮悦子さんが報道番組「ニュースステーション」のエピソードや人生観を語った。(高崎扶美子)

ニュースと向き合い歩む

 おてんばとシャイが同居しているような性格で、人の前に出るのは好きじゃない。書いたり読んだりすることが好きでマスコミを志望したが、アナウンサーになりたかったわけではなく、心構えも覚悟もなかった。失敗の連続で、就職したもののアナウンサーを辞めたいと思っていた。
 変わったのは、現場取材に出るようになってから。スポーツ取材で選手の話を聞くと、リアルで競技の素晴らしさが伝わるし、近くで見ると迫力もある。あっという間に引き込まれた。

伝えたい気持ち大切

■報道特番が転機

 入社5年目の1985年、新しい報道番組「ニュースステーション」のキャスターになった。その年末のニュースステーション特別番組が転機になった。
 番組は8月に起きた日航ジャンボ機墜落事故の特集で、スタジオには(犠牲者数と同じ)520足の靴が並べてあった。乗っていたであろう座席順に、子どもの席には子ども靴、女性のところにはパンプス。靴はその人をよく表す。何よりも520人の命が失われたことを物語っていた。
 それを見て、雷に打たれたように衝撃を受けた。日航機事故の報道でこんな表現は見たことがない。キャスターの久米宏さんのアイデアだったそうだが、テレビならではの表現を見て、ニュースステーションに、報道に、恋をした。それから無我夢中でニュースとともに歩いてきた。
 まだ女性キャスターが多くなかった時代に、スタッフは私のいいところを見つけて伸ばし、小宮悦子というキャスターをつくろうと育ててくれた。「アナウンサーの肩書きを捨てなさい。中身で勝負できるようになれ、ニュースに向き合え」と言われた。
 当時、アナウンサーは言われた通りのコメントをする受け身の仕事という観念があった。ニュースを伝えるには、ニュースが好きで「なんとしても伝えたい、重要性を分かってもらいたい」という気持ちをどれだけ持てるかが大切なのだと理解した。

■よりよく生きる

 ニュースステーションを13年、夕方のニュース番組を12年担当。30年近く続いた、テレビで毎日ニュースを読む生活をやめたとき、世の中から置いて行かれたようで不安になった。
 目に見えないから未来が不安になる。逆に、最期から今の私を見たらどうだろう。考えてみると、十分健康で今が一番若い。何でもできる、やりたかったことをやろうと、ずいぶんと気持ちが楽になった。今をよりよく生きるしかない。
 後悔をしないように、今できることを思い切りすると、周りの人にいい影響を与える。互いに影響し合う社会をつくっていけたら、人口は減っても豊かな社会になるのではないか。
 今、人口が減りつつあり出生率は低い。待機児童の問題で働きたくても働けない母親も多く、もったいない。女性の労働力を活用してこなかった政策の失敗だ。
 女性には自信を持って発言をしてもらいたい。女性は結婚し、子育てをし、いろいろな経験を積んでいるので、社会で必要なことがよく分かっている。政治家は女性の意見に耳を傾けてほしい。女性が積極的に発言し、動いていくことが、この国の将来をつくっていくことにつながる。