徳島新聞 女性クラブ

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お知らせ

2017年1月10日火曜日

徳島新聞女性クラブ講演会 落語家 桂文枝さん

 徳島市のアスティとくしまで開かれた女性向け会員サービス「徳島新聞女性クラブ」で、落語家の桂文枝さんが「笑いはこころのビタミン剤」と題して講演した。自身の老いも笑い飛ばすユーモアあふれるエピソードを軽妙な語り口で披露し、会場を盛り上げた。要旨は次の通り。
 

笑いの効用について話す
桂文枝さん=アスティとくしま
よく笑い100歳目指そう
感情を表に出して


 今月1日をもって、落語家生活50年。そして来年の1月になると、「新婚さんいらっしゃい」が47年目に入りましてね。こうしてやってこられたのも、元気やったからやと思う。やっぱり笑うってことがどれだけ大事かってことやね。医者の研究結果で、笑うことでNK細胞(ナチュラルキラー細胞)が活発になって、がん細胞を抑えるらしい。だから、笑うことはすごくいいことだそう。
 このことを江戸の昔から日本人はよく分かっていたようで。大阪に60軒ぐらいあった寄席の一つを描いた浮世絵には、舞台の上に掛かっている額に「薬」という字が書いてあるのが残っている。つまり「笑い」は気の薬という意味らしい。
 それで10年前に、大阪の天満宮の裏に61年ぶりにわれわれみんなで「繁昌亭」という寄席を作った時に、昨年亡くなった人間国宝の桂米朝師匠に「薬」という1字を書いてくださいってお願いしました。すると、パッと書いたのが「楽」という字。私は「なんじゃ、これは?」と。ところが師匠は「知って抜いたんや」と言って、「『くさかんむり』には本格的ではない、本物でないという意味があんねや。ほんまの落語を聞かせて、ほんまにお客さんを楽しませる。それが落語家として一番大事なことや」とね。
 ところが「風呂入ってくる」と小一時間して帰ってくると、「用事は何や?」と言い、これまでの話を全然覚えてへん。失礼やから言われへんで改めて頼むと、書いてくれた字が「薬」(笑)。困ったね、2枚もろてね。やっぱり師匠のあの言葉が胸に突き刺さりまして、今は米朝師匠が書いた「楽」という字の前で毎日毎日落語をやらせてもらっている。
 「笑い」は笑わす方もパワーがいる。だから、よく歩いて、体を鍛えることを心掛けている。せやけど、私は病院が基本的に好きやね。もちろん注射や検査は嫌いやけど、ネタの宝庫やからね。ほんとに面白いことがいっぱいあるから、ネタには不足しません。
 病院では点滴を打ちながらゆっくりする時間が一番好きやが、この前、カーテン越しに先生と患者の声が聞こえてきて。調子悪いという患者に先生が「酒は1日1合、たばこは2本、守ってないやろ」と。すると、患者が「守り出してから調子悪い。たばこ2本吸うんがつらいんよ。元々吸わへんから」(笑)。これ、ほんまの話なんよ。病院にはおもろい人が多い。
 講演では皆さんに笑ってもらおうと、いろいろ考えるわけやが、笑うことはほんとにいいこと。医者には「笑う、泣く、こういう感情をできるだけワッと出す方がいい。それが100歳まで生きるこつです」と言われた。楽しい時は腹を抱えて笑って、悲しい時は泣いて忘れたらよろしいねん。そうすると間違いなく100歳まで生きる。なぜなら、ハッハッハと笑ってハッパ64、シクシク泣いてシク36。足してちょうど100歳(笑)。うまいこと言いはった人がいてますな。とにかく80歳を元気に超えると、100歳を目指していけるそうなので、元気に頑張ってほしい。