徳島新聞 女性クラブ

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お知らせ

2017年11月7日火曜日

7/8開催 中村メイコ講演 開催レポート

 徳島市のアスティとくしまで開かれた女性向け会員制クラブ「徳島新聞女性クラブ」のトークイベントは、女優の中村メイコさん(83)が「人生の終いじたく」と題して講演した。80年余りに及ぶ芸能活動や普段の暮らしぶりを紹介しながら、老後を楽しく暮らすこつをユーモアたっぷりに語った。(山口和也)
 
女優 中村メイコさん
=アスティとくしま

相手敬い老後楽しく
「ありがとう」忘れず


 2歳のとき、作家だった父に抱かれた写真が雑誌に掲載された。それが映画会社の目に留まり、映画に出演することになった。撮影をもう1本、もう1本と続けるうちに今日を迎えた。
 少女時代は「普通の女の子」への願望が強かった。あるとき、雑誌の企画で後に親友となる美空ひばりさんと対談した。「たまには普通の女の子のように、ボーイフレンドと街を歩いてみたいわね」と話すと、ひばりさんは「夢を売る商売の私たちは、ファンが嫌と思うことは我慢しなくちゃ」。妙な人だなと感じたのが第一印象。でも、美空ひばりという人は、その言葉通りに生きた。
 2歳年上の作曲家神津善行さんと結婚したときは、仕事を辞めるつもりだった。夫に切り出すと、思い掛けない反応が返ってきた。「これからの日本女性は、結婚して子どもができても、何か専門を持ち、その仕事をしながら生きるべきだ」と。
 言葉はかっこよくても、現実は大変。義母のお世話から、家事、子育てまで全て任された。それでいて「君は、どんどんいい仕事をしてくれ」と言うのだから、理屈と実際の生活が全く違う。この時代の男性は、これが当たり前で、女性も、そんなものと思っていた。
 3人目の長男が高校を卒業するまで、毎朝5時15分に起床し、子どもの弁当と朝食を用意してから仕事に向かった。大河ドラマの撮影は、午前0時までに終わることがなく、睡眠は2時間半ほど。同じようなことをして、あっという間に60年が過ぎた。
 それが、子どもが独立して夫と2人になると、家での会話がさみしくなった。夫に何か話してと促すと「源氏と平家は…」「ナチスとヒトラーは…」と、まるで演説。そんな「夫のつまらない長話」を聞くときは、ちゃんと聞いているふりをする。時々、相づちを打ち、十分に話し終わった頃を見計らって「ありがとう。面白かった」と言えば相手も悪い気はしない。
 老夫婦になると、若い頃と違って夫の世話をするエネルギーもなくなってくる。あの手、この手を考えないといけない。
 夫が洗面台で顔を洗うと、いつも水しぶきが飛び散っていた。「何で、私ばかりが拭かないといけないの」と思いながらも「汚らしいから、ちゃんと拭いて」と言っては駄目。文句ばかり多くなってしまう。
 そこで、夫が使う前、洗面台に水をわざとかけておいた。それを知らない夫は「あんたはカバか。何であんなに水が飛ぶんだろうね」と言いながらも「タオルを置くので、洗面台を使ったら拭くようにしよう」と提案してくれた。角を立てず、相手を尊重しながら面白おかしく暮らしている。
 70歳の古希を迎えたのをきっかけに一戸建ての家を引き払い、マンションで暮らしている。この時、小さい頃からの思い出の品や衣装を全て捨て、身軽になった。今は家族に迷惑をかけないよう、自分の身の回りのことができるうちに、うまくいなくなりたいと考えている。